星降りぬ

書かねば。

壮大になにも起こらない「天気の子」② ~「『トゥルーエンド』説に見る物語の欠落」編~

追記:2021年1月4日に大きく論の構成を変え、タイトルも変えました。 1.「トゥルーエンドっぽい」って、なんだ? 2.感情移入できない主人公・帆高 ① パズーは正義だが、帆高は正しさの逆をゆく ② 無鉄砲な帆高には、葛藤も喪失もない ③ ラピュタは冒険活…

壮大になにも起こらない「天気の子」① ~「善悪なんて尺度でオレたちは測れないぜ」編~

「天気の子」をみて第一の感想を記してから3週間とすこし。買い忘れていたパンフレットも手に入れた。ひと安心である。 あちこちでネタバレ全開のレビューが読めるようになった。ぜんぶを追いかける気なんてさらさらないが、目の前に流れてくるとつい読んで…

「天気の子」を見てきた当日の感想

「天気の子」を見てきたのにパンフレットを買い忘れた。 考察オタクとしてひどい失態である。 私は映画館からずいぶんと遠いところに住んでいるので、映画を見に行くだけでも一日がかりの旅行であって、ちょっと戻って買いに行くということができない。 なの…

「君の名は。」タイトル考 ~「夢の喪失」モチーフへの再挑戦~

もうすぐ新海誠の最新作「天気の子」が公開されるときいて焦っている。 「君の名は。」について書こう書こうと思っていたネタを活字にすることなく、だらだらと今日まで来てしまったからだ。来たる劇場公開に備えて「君の名は。」が地上波で放映されているこ…

「会話劇」その先へ ~省略するゆゆ式~

きらら2月号のゆゆ式面白かったです三上先生すみませんでしたって記事。発売から一か月がたち、3月号も出るころなので書こうと思う。 (ということで、単行本派の人はネタバレ注意です。最新10巻にも載ってません。ブラウザ閉じてください。) 追記:11巻出…

『ツッコまねば』という強迫観念 ~ 「女子高生の日常」を放棄した情報処理部 ~

前回の記事では、ゆゆ式情報処理部の3人が意識的に「軽快で楽しい会話劇」を作り出している、それによって情報処理部の3人は「楽しくない」状況を積極的に回避している、ということを書いた。 stars-have-fallen.hatenablog.jp この記事では、「楽しく」あろ…

ゆゆ式における「敵」とはなにか ~ 情報処理部の弛まぬ努力について ~

今年も“ゆゆ式 Advent Calendar 2018” が面白い。 adventar.org ゆゆ式10周年展と時期を同じくして始まったクリスマスへのカウントダウン。カレンダーが全マス埋まっているだけでも多くの人に愛されているという事実と活気が感じられて嬉しくなりますね。そ…

「雲のむこう、約束の場所」ラストシーンについての考察

「君の名は。」の大ブームを記念して、「雲のむこう、約束の場所」が駅前のちっちゃな劇場でリバイバル上映されると知ったとき、私は、半分この作品を銀幕で見れることに興奮しつつ、もう半分は雪辱を果たす気分で、意気揚々とチケットを買った。 劇場アニメ…

Wordのルビ「右縦寄せ」の謎

ちょっと用があって、過去に作ったWord文書をいじっていたらこんなものを見つけました。 「配置」の部分にある 「 右 縦 寄 せ 」という選択肢。 なんだろうなーと不思議におもい、新しい文書ファイルで(古いファイルは変に壊したくない)この機能を試そう…

ブログ、始めました

改めまして、こんばんは。かがみと申します。 初めてブログというのを作ってみました……いや、そういえば初めてじゃないですね。たしか中学だか高校だかの時に、部活の友人に誘われてつくった覚えがあったような。前略とか、絵文字にあふれた日記帳とか、パス…

秒速5センチメートルは、「バッドエンド」か?

勢いでブログを作って2記事目。ひきつづき新海誠の代表作「秒速5センチメートル」の話をしたい。前回の記事は読んでいただけただろうか。 stars-have-fallen.hatenablog.jp 読んでない? じゃあムリに読まなくていいですよ。 要するに、秒速は ”神格化された…

遠き ”明里” を追う ―「秒速」をみて―

ブログ開設のあいさつもなく、ちょっと秒速について語りたい。 いまを時めく映画監督、新海誠の代表作のアレである。 秒速5センチメートル [Blu-ray] 出版社/メーカー: コミックス・ウェーブ・フィルム 発売日: 2008/04/18 メディア: Blu-ray 購入: 11人 ク…